うま味ってどんな食材が持っているの?うま味が強い食材はなんでしょうか?
うま味は良く聞くようになりましたが、実際のところうま味を持っている食材がなにか分かりにくいですね。うま味が多いと言われる食材でも、何十種類あります。ほとんどの食材がうま味を持っています。4大うま味成分である、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸を持っている食材は全てうま味があります。
一体、どんな食材が多く持っているか気になりますね。
ここでは、代表的なうま味の多い食材を紹介します。さらに、組み合わせによっても効果があることも紹介していますので、是非活用してください。
1、代表的なうま味を持っている食材
うま味物質はたんぱく質や核酸なので、たんぱく質が豊富な食材中に含まれています。その中でも、遊離アミノ酸が多いほど、うま味物質が多いと判断することができます。最新版の「日本食品成分表(七訂)」で「アミノ酸組成によるたんぱく質」という項目を確認すれば、遊離アミノ酸の数値が分かります。
ここでは、代表的なうま味含有した食材を紹介します。ぜひ活用してみてください。
1-1、グルタミン酸
グルタミン酸と言えば昆布ですね。それは昆布だしのうま味成分として発見されたためです。日本は古くから昆布のだしをよく利用しました。昆布の中のグルタミン酸含有量は、羅臼昆布>真昆布>利尻昆布>日高昆布>長昆布>のり>わかめ の順になります。
また、トマトもグルタミン酸を多く含有している食材です。しかも、トマトは、完熟して行くほど、グルタミン酸の含有量は多くなっていきます。
そのため西洋料理ではトマトが料理のベースとして日本の昆布の代わりの役割を果たしているのでしょう。
小麦たんぱくも非常に豊富なグルタミン酸が含有されています。調味料用のグルタミン酸ナトリウムは当初の生産では小麦などのグルテンを加水分解することによって製造されました。
スーパでよく見られる肉類では、鶏肉、牛肉、豚肉の順となります。
それ以外にも、チーズ、緑茶などにも豊富なグルタミン酸が含まれています。
*Food Pockket データベースより
1-2、イノシン酸
イノシン酸は、鰹節を初め、魚介類と肉類に多く含まれています。しかし、イノシン酸は生きているカツオには含まれてはいません。熟成して行く間に生成した代謝物です。
生体は生命活動の維持の為にATP(アデノシン3リン酸)と呼ばれる物質を貯蔵しています。これらは生物のエネルギー通貨と呼ばれるほど、重要な役割を果たしています。生物の死後、このATPはATP→ADP→AMPと順次分解され、その後イノシン酸(IMP)になります。その後更に時間を経て分解していくと腐敗が始まり、イノシン酸はヒポキサンチンという臭み成分へ生成されます。
魚の場合は、魚種によって違うですが、イノシン酸量がピークになる時間はおおよそ10時間ぐらいです。魚が死んだ後、魚の身は徐々に硬くなっていきます。この過程は、「死後硬直」といいます。硬くなっていく過程はATPをイノシン酸(IMP)変換されている過程となります。その後、身が徐々に崩れてきます。それは、腐敗段階へ進行して行く表徴となります。つまり、新鮮の魚の身はしっかりしているが、実は旨味は少ないです。そのため、寝かした方がうま味成分は多くなります。しかし、寝かせる時間には要注意ですね。
そのため、鰹節のイノシン酸の含有量が生の鰹より高い理由は、水分値の差だけではないです。同じ理由で、その他の節類も同様です。
最近よく見られる「熟成肉」も同じように、イノシン酸を増やすために、熟成させていきます。同様にベーコンも熟成を経てイノシン酸豊富な食材になりますね。
熟成の時間については食材によって異なりますが、一般的に肉よりも魚の方が早いです。
*旨みインフォメーションセンターデータベースより
1-3、グアニル酸
グアニル酸を多く含む食材は、干ししいたけ等の乾燥キノコです。おおよそ150mg/100gのグアニル酸が含まれています。生キノコには含まれていません。また、干し椎茸はそのままの状態ではグアニル酸はありません。水戻しと加熱が必要です。
その理由は、水戻しの工程によりグアニル酸が生成されるその元となる物質リボ核酸(RNA)を増やします。そして、加熱によってリボ核酸をグアニル酸に変えて行きます。この変化にはシイタケに内在するヌクレアーゼやホスファターゼという分解酵素の活性と関連しています。この2つの分解酵素は温度帯によって活性が違います。60℃~70℃の温度帯で活性が大きいです。ホスファターゼの力で、リポ核酸をグアニル酸へ生成して行きます。45~50度温度帯では、せっかく生成したグアニル酸はヌクレアーゼの作用でグアノシンへ分解されていきます。一方、分解酵素の効果は、60℃以上加熱すれば、大部分が壊れていきます。したがって水戻した椎茸だしは、強火で一気に加熱して行きましょう。
水戻しは冷蔵庫(5℃)で行うとより美味しいだしができます。水戻し時間は5時間が目安です。それは、遊離アミノ酸は水戻し時にたんぱく質が分解されて増加しますが、比較的温度が高い条件で長時間水戻しをすると苦みのある疎水性(水に溶けない)アミノ酸の割合が増える傾向があるためです。
乾燥きのこ類全般、干ししいたけの他に、ほたて貝、のり、ポルチーに、ドライトマト、ずわいがに、ウニなどにも含まれています。
1-4、コハク酸
コハク酸は食品のうま味の一つとして知られていますが、実は、琥珀「コハク」を破砕し、砂浴で蒸留すること(乾留)で見つけられた有機酸です。
アサリなどの貝類に含まれています。コハク酸は加熱する時溶出するため、あさりや貝類の味噌汁を作る時わざわざだしとる必要がありません。
あさりは、過酷な環境でも生き残れるためにコハク酸を生み出していきます。通常は水の中でエラ呼吸をしているアサリは、地上に出てしまい酸素を取り入れらなくなると、苦しくなってコハク酸を作り出します。この性質を利用して調理をする前に、砂出し後のアサリを水からあげ、濡れたペーパータオルなどをかけてしばらく放置すると、ストレスがかかった環境となり、コハク酸が多く生み出していきます。そのため、塩水からあげたアサリをしばらく放置しておくとうま味成分が増すと言われています。
放置する場所の温度にも、要注意です。冷凍庫の中のように温度や湿度が低すぎるとコハク酸が増えにくく、反対に暑過ぎるとアサリが傷んでしまいますので、20℃前後の室温に放置するのが良いと思います。
*和洋女子大学記要 27
2、加熱して、うま味アップ
食材は加熱することによって、うま味が増加します。
肉類は生食することが少なく、加熱調理を行って食べています。加熱によって、香り、色、テクスチャー、味などが変化しおいしくなります。また、食中毒の原因となる細菌が死滅し、安全になると同時に保存性も幾分増します。
野菜類はサラダとして食べても美味しいですが、加熱することによって、うま味が増えて行きます。トマトの例を挙げます。
*日本調理科学会誌
トマトだけではなく、その他の野菜類も加熱すことにより、うま味成分が凝縮されていきます。
3、代表的うま味食材の組み合わせ
うま味物質は単独で使うよりも、アミノ酸であるグルタミン酸と、核酸系うま味物質であるイノシン酸やグアニル酸を組み合わせることで、旨味が飛躍的に強くなることが知られており、それを「うま味の相乗効果」と言います。市販の複合調味料はこの効果を利用しています。裏表示を見ると、まとめて「アミノ酸等」と表示されています。
「うま味の相乗効果」が科学的に発見されたのは1960年のことですが、それよりもずっと前から世界各地で経験的に料理に活かされてきたのです。例えば日本料理では昆布(グルタミン酸)と、鰹節(イノシン酸)、西洋料理や中国料理では野菜類(グルタミン酸)と肉類(イノシン酸)を組合せてだしをとり、古くから料理に利用してきました。
さらに、濃い味が美味しい中華には「ネギ×ニンニク×ザーサイ」、「ネギ×生姜×ホタテ」洋風には「玉ねぎ×とうがらし×ローズマリー」、「玉ねぎ×ニンジン×パセリ×ローリエ」、イタリアン風は「ドライトマト×バジル×玉ねぎ」、「ポルチーニ×ニンニク×オリーブ」のような従来とは違うだしをたくさんの料理研究家が開発していました。
いかかでしょうか、今日の買い物からできる組み合わせはできましたか?
また迷っているなら、一例を提案させていただきます。
トマト(グルタミン酸)×ベーコン(イノシン酸)のアサリ(コハク酸)スープ
水戻し椎茸(グアニル酸)×野菜(グルタミン酸) 炒め
4、まとめ
うま味とはほとんどの食材に含まれていますね。 まとめてみると、身近の食材にはグルタミン酸多くには植物類に含まれ、イノシン酸は動物性のたんぱく質の中にあります。そのため、料理をするとき、食材の一種類使うより何種類使った方が美味しく出来ますよ。その中、野菜 × 肉類(魚介類)の組み合わせは、栄養バランスできた上で、味も美味しくなります。炒め物にしても、スープにしても、美味しく仕上がれます。ぜひ、今日の夕飯からやって見て下さい。
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