旨味とアミノ酸の関係とは?旨味を構成する2つのアミノ酸を徹底解説

旨味とアミノ酸はどういう関係なの?

和食ブームは「旨味」を取り上げられていますが、その旨味はアミノ酸由来するものです。このアミノ酸は、私達生きていくためには不可欠なものです。

「食べ物のたんぱく質→アミノ酸へ分解→体の吸収・貯蔵→体の必要なたんぱく質を作り出す」のような流れで役割を果たしています。

「旨味」と呼ばれるアミノ酸はグルタミン酸とアスパラギン酸です。アミノ酸は「旨味」以外に、「味」とも深く関係しています。アミノ酸組成により味が変わるという事です。例えば、トマトと蟹の味は違いますね。その理由は、それぞれのアミノ酸組成が違うためです。

同じ食材にしても、加工方法によってアミノ酸の量が変わるので、味も変わります。

この記事を読めば、旨味とアミノ酸の関係を知り、食材のアミノ酸の量へ増やする方法とアミノ酸豊富に含まれる食材も分かります。


1、旨味とアミノ酸

 食べ物の「旨味」は、「アミノ酸」に由来します。

  アミノ酸は、たんぱく質を作るにの必要な物質です。私たちの体はたんぱく質で出来ているため、アミノ酸は私たちの生命そのものを生み出す、維持していくためにとても重要な物質です。

 たんぱく質には「味」がありません。細かく分解し、ペプチドやアミノ酸となってから味を持つようになります。

 ペプチドもたんぱく質と同じようにアミノ酸がつながったものです。

 アミノ酸が数10万~数100万単位集まったものがたんぱく質で、ペプチドはアミノ酸が数単位ほど集まったものです。アミノ酸の結合数が多い順に たんぱく質 > ペプチド > アミノ酸 となります。


2、旨味と呼ばれる2つのアミノ酸

「旨味」と呼ばれるアミノ酸はグルタミン酸とアスパラギン酸です。

自然の中では約500種類のアミノ酸が存在していますが、たんぱく質を構成できるアミノ酸は約20種類ほどしかありません。旨味成分物質となるグルタミン酸とアスパラギン酸はこの20種類の中にあります。

2-1、グルタミン酸

 グルタミン酸はアミノ酸の旨味成分の代表的な物質です。世界で最初に見つけられた旨味成分で、尚かつ私達の体内中のアミノ酸のうちグルタミン酸が一番多く存在しています。

  東京帝国大学の池田菊苗教授は1908年に世界で初めて「昆布だしの旨味成分はグルタミン酸である」と発表しました。しかし当時はだれも「旨味」の存在を認めていませんでした。

 その後、人間の舌においてグルタミン酸を主に反応する細胞(味の受容体)が発見されため、ようやく「旨味」の存在が国際的に確立されました。

 この味の受容体は「旨味受容体」といわれ、「グルタミン酸受容体」とも呼ばれています。

 現在、グルタミン酸は味の世界だけでなく、ダイエット等の分野でも効果を発揮しているため世界中に注目されています。

 また、栄養学上、体内で作り出せるアミノ酸は「必須アミノ酸」、外部から摂取する必要があるアミノ酸を「非必須アミノ酸」としています。さらに体内で生成されるが、食品からも積極的に摂取してほしいアミノ酸は「準必須アミノ酸」となります。グルタミン酸は、体に非常に重要な役割を果たしているため、準必須アミノ酸の一つとなっています。

 グルアミン酸が多く含まれる食べ物…昆布・チーズ・トマト・緑茶等あります。

 

2-2、アスパラギン酸

 アスパラギン酸も人間の旨味受容体に反応する旨味成分の一つとなります。

 アスパラガスから発見されたのでこのような名前が付けられました。醤油や味噌など発酵食品の旨味がこのアスパラギン酸です。昆布にもアスパラギン酸が豊富に含まれています。

 家庭の台所では「アスパラギン酸」というものはなじみがないのですが、実は食品添加物として様々な加工食品に使われています。また、アスバラギン酸は、体の疲労の原因となる乳酸を分解してエネルギーを生みだすため、栄養補助剤によく使われています。

 体の中にあるアスパラギン酸は、アミノフェラーゼという酵素によって生成されるアミノ酸です。体内で作り出すことができるため、非必須アミノ酸です。

 


3、その他のアミノ酸

 味をもつアミノ酸はグルタミン酸とアスパラギン酸の他に多くあり、それぞれ味を持っています。また、組み合わせによって味が変わります。

3-1、アミノ酸はそれぞれが味を持っています

   20種類のアミノ酸は、グリシン 、フェニルアラニン、アスパラギン酸、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、スレオニン、イソロイシン、プロリン、バリン、グルタミン酸、セリン、ロイシン、アスパラギン酸、シトルリン、メチオニン、リジ、オルニチン、グルタミン、ヒスチジン等。

  それぞれの味は下記の通りです。

 

出典:畝山、河合、Kawai M et al., Amino Acids, 43: 2349-58, 2012

3-2、アミノ酸の組み合わせにより食べ物の味が左右される

 アミノ酸が多く含まれると持っている味を強く感じますが、実は、どのアミノ酸でも単体で口にして美味しいと言えるものではありません。

食べ物は、アミノ酸の組み合わせが違うからこそ、それぞれ独自の美味しさを生んでいるのです。

 実は、アスパラギン酸とグルタミン酸も「旨味系」とされていますが、アスパラギン酸は酸味も持っているので、グルタミン酸との組み合わせが料理をおいしくする秘訣です。

 例えば、完熟したトマトはグルタミン酸とアスパラギン酸が41の割合で含まれているため、トマトらしい最もおいしい味となっています。そのため、イタリアの家庭では、旬のトマトを使って一年間分のトマトソースを作り置きするのもそのためです。

 つまり、食べ物の中のアミノ酸の数と種類が多いほど美味しいのです。


4、食べ物のアミノ酸を増やす方法

 基本的には、アミノ酸を増やすにはたんぱく質の構造を壊す必要があります。

 たんぱく質を分解することによりアミノ酸やペプチドの量が多くなるため、旨味に関与するアミノ酸も多くなります。

その方法は二つあります。

①発酵 

②熟成

-1、発酵

 微生物の力でたんぱく質を分解しアミノ酸の量を増ふやす方法です。

 細菌・酵母・カビ等の微生物によって、たんぱく質を分解していきます。バラバラ状態になったたんぱく質はアミノ酸となります。

 味噌、しょうゆ、日本酒、ビール、ワインは微生物の「発酵」によってつくられます。

 醤油の作りは、主な原料の大豆と小麦に、麹(コウジカビ)と食塩を加えてつくられます。麹がつくり出すデンプンを分解する酵素やたんぱく質を分解する酵素などによって、デンプンがブドウ糖となり、さらに、高濃度の塩分でも生き残った乳酸菌や酵母によって、酸味や香りをつくり出します。この発酵工程で、大豆のたんぱく質は、グルタミン酸などのアミノ酸やペプチドに分解され、「旨味」の成分へ変わります。

 食品を発酵して使う方法は、日本だけではなく、世界中に利用しています。ヨーロッパのチーズとアンチョビ等、東南アジアの魚醤、漬物等あります。日本では、かつお節のうまみ成分も、カビ付けによりカビがかつおのたんぱく質を分解したものです。このカビ付けした鰹節は「本枯れ節」と言い、非常にランクの高い鰹節です。

 4-2、熟成

 食品がもともと持っている酵素の力で、たんぱく質の構造を壊して、アミノ酸へ変換する方法です。この過程は生物学では「自己消化」と言います。

「牛肉」や「豚肉」を例として挙げます。肉における熟成とは肉自体に含まれるたんぱく質分解酵素によって肉のたんぱく質が分解され、旨味成分であるアミノ酸等に変化することです。また筋肉をおおっているコラーゲンも分解により柔らかくなります。

 最近話題の「熟成肉」はこの作用を利用した食材です。しかし温度や雑菌のコントロールは難しく食中毒につながる可能性もありますので、家庭での自作はお勧めできません。

魚肉も同じです。お刺身はあまり新鮮すぎるとかえって味がもの足りないといわれることがあります。魚はしめてから1224時間経ったころにアミノ酸等の旨味成分が多くなり、より美味しくなります。魚の生き作りはお刺身のぷりぷりした歯ごたえが味わいですが、適度に保存されたお刺身のねっとりしたおいしさは別物です。

アミノ酸豊富な食材を選んで、美味しい料理作って行きましょう。


5、アミノ酸の種類別にまとめたお勧め食べ物 

豊富なアミノ酸を持つ食材を選ぶことは味だけではなく、体にとっても非常に重要です。不足すると、私達の命を維持するたんぱく質も作れなくなります。

必須アミノ酸               

・バリン…鶏肉、カッテージチーズ、ゴマ、魚、ピーナッツなど                  

・イソロイシン…鶏肉、牛乳、チーズなど                 

・ロイシン…レバー、牛乳、チーズ、とうもろこし、あじ、ほうれん草など               

・リシン(リジン)…サワラ、サバ、豆腐、納豆、大豆、ほうれん草など                 

・メチオニン…牛肉、牛乳、にんにく、レバー、果物類、野菜類など              

・フェニルアラニン…肉類、魚介類、大豆、あずきなど                   

・トレオニン(スレオニン)…チーズ、たまご、ゼラチン、スキムミルクなど                    

・トリプトファン…カツオ・ブリ・サバ・マグロ・バナナ・たらこ・コーヒー                    

・ヒスチジン…鶏肉・イワシ・カツオ・チーズなど                

 

非必須アミノ酸                    

・アラニン…シジミ、ホタテ、イカなど                   

・アルギニン…鶏肉、牛乳、大豆、ごま、レーズン、エビ、ナッツ類など                 

・アスパラギン…大豆、ナッツ類、玄米、アスパラ、エビ、ジャガイモなど               

・アスパラギン酸…サトウキビ、アスパラガス、もやし、らっきょう、まぐろなど  

・グリシン…エビ、ホタテ、イカ、カニ、マグロなど              

・グルタミン…豚肉、小麦、海藻、レバー、卵、チーズ、トマト、肉類、魚類など         

・グルタミン酸…昆布、トマト、チーズ、大豆、アーモンド、しいたけ、ごまなど  

・システイン…ニンニク、玉ねぎ、ブロッコリー、小麦胚芽、オーツ麦など               

・セリン…大豆、高野豆腐、小麦粉、かつお節、いくらなど               

・チロシン…チーズ、たらこ、大豆、たけのこなど                

・プロリン…小麦粉、牛乳、ゼラチン、大豆など                  

その他の代表的なアミノ酸                 

・テアニン…緑茶                  

・オルニチン…しじみ、ヒラメ、チーズ、エノキタケ、だだちゃ豆など                   

・タウリン…タコ、イカ、エビ、あさりなど               

・シトルリン…スイカ、メロン、冬瓜、きゅうりなどのウリ類                    

 

 

 

 

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