2013年12月4日、「和食」が、ユネスコの人類の無形文化遺産に登録されました。
登録が決定された理由には、自然尊重の精神にはじまる、さまざまな特徴があげられます。
また、東日本大震災からの復興というメッセージも込められています。
登録された和食の4つの特徴を紹介するともに、継承していくことについて考えていきます。
目次
1.ユネスコの無形文化遺産とは
和食が「無形文化遺産」に登録されました。
「無形文化遺産」とは、形のない文化のことです。
例えば、慣習、描写、表現、知識及び技術などのことで、日本では「歌舞伎」「能楽」が登録されています。
今回の「和食」も、うどんや寿司など具体的な料理が登録されたのではなく、「和食」という文化が登録されました。
似たようなものに、「世界遺産」がありますが、無形文化遺産が形のない文化に対して、世界遺産は建築物や自然などの有形のものを対象とています。
一般に、無形文化遺産を、「世界無形遺産」や「世界無形文化遺産」のように「世界」をつけた俗称で呼ばれることもありますが、日本での正式な表記は無形文化遺産です。
和食が、登録されたのは、「世界遺産」ではなく、「無形文化遺産」となります。
一汁三菜の食事の形、季節感を大切にした料理や伝統行事などの和食の特徴などの文化が登録されました。
2.和食がユネスコ無形文化遺産に登録された理由
ユネスコ無形文化遺産の目的は、文化を守り保護していくことです。
「和食」が登録されたという事は、日本人の伝統的な食文化を守っていかなければならないのです。
現在の日本では、家族で食卓を囲むことが少なくなりました。
食事のスタイルも洋食など増えてきて、鰹節や昆布でだしを取る機会も減ってきています。
ユネスコに登録されたことは、日本人すべてが和食文化を守っていく必要があるということのきっかけになります。
また、ユネスコに無形文化遺産に登録されるという事は、世界的に広く知ってもらうということになります。これには、東日本大震災からの復興というメッセージも込められています。
「和食」が独特な文化ということを改めて考えることができ、世界に広く知ってもらうきっかけとなります。
3.ユネスコに登録された和食の4つの特徴
特徴1:自然の恵みの食材と、調理や保存の工夫
-多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重(農林水産省サイトより)-
特徴2:栄養のバランスがいい一汁三菜(いちじゅうさんさい)
-健康的な食生活を支える栄養バランス(農林水産省サイトより)-
特徴3:旬の食材と季節の飾りつけ
-自然の美しさや季節の移ろいの表現(農林水産省サイトより)-
特徴4:正月などの年中行事の特別な料理
-正月などの年中行事との密接な関わり(農林水産省サイトより)-
各、特徴の内容を下記にご紹介します。
特徴1:自然の恵みの食材と、調理や保存の工夫
特徴の1つ目、自然の恵みの食材と、調理や保存の工夫があります。
海・山・里、そして気候から得られる食材があること。また、生食・汁物・焼き物などの調理方法や、ひものなどの乾物や味噌や酒などの発酵食品による保存方法があります。
ちなみに、農林水産省のサイトでは、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」と書かれています。
“日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根差した多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。”
特徴2:栄養のバランスがいい一汁三菜(いちじゅうさんさい)
特徴の2つ目、和食には、ごはん・みそしる・おかず・漬物(一汁三菜)の基本の形があります。
この形をとることで、栄養のバランスが良くなります。
ちなみに、農林水産省のサイトでは、「健康的な食生活を支える栄養バランス」と書かれています。
“一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿や肥満防止に役立っています。”
特徴3:旬の食材と季節の飾りつけ
特徴の3つ目、和食では、季節らしさを大切にします。旬の食材や、盛り付けで季節を表します。
季節のものを食べたり、もみじなど葉っぱや花を添えて季節感を出します。
ちなみに、農林水産省のサイトでは、「自然の美しさや季節の移ろいの表現」と書かれています。
“食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。季節の花や葉などで料理を飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。”
特徴4:正月などの年中行事の特別な料理
特徴の4つ目、正月などの年中行事に特別な料理があります。
お正月なら、おせちやお雑煮、花見などでは、宴の席の料理です。
和食には「自然の尊重」、自然の中に神がいるという考え方があります。
年中行事には、この考え方が大切にされています。
ちなみに、農林水産省のサイトでは、「正月などの年中行事との密接な関わり」と書かれています。
“日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきました。”
さらに詳しい、和食の4つの特徴は下記記事をご覧ください。
4.これからの和食文化の継承
ユネスコの無形文化遺産に認められたということは、その食文化を今後も伝えていくことが必要になります。和食の文化を伝えていくのは、ユネスコの提案書には「すべての日本人」であるとしています。
社会や生活スタイルが変わることで、和食がなくならないようにしていかなければなりません。
学校や地域では、「食育(しょくいく)」の取り組みがあります。給食では、「飯・汁・菜」の形を取りながら献立を組んだり、郷土料理などの伝統的な食文化をメニューに入れていることもあります。
家庭でも、子どもたちに家の手伝いをしてもらって、失敗しながら学んだり、正月の準備などを手伝ってもらうことで、和食を知っていくことが大切です。
社会が変化しても、みんなで、和食の文化を今後も伝えていくことが大切です。
5.まとめ
和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことで、世界的にも有名になりました。
和食では、自然を尊重し大切にすることで、独自の文化となりました。
また、自然と生活が合わさることで、独自のスタイルや変化があります。
今後も、時代によってアレンジされていき、今後も少しずつ変わっていくでしょう。
和食の特徴の自然からの恵みや、栄養バランス、旬の食材や、季節の行事等を見直し、あらためて伝えていくきっかけにしたいと思います。
参考文献:和食文化ブックレット1 ユネスコ無形文化遺産に登録された和食 和食とは何か
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