鰹節カビ付けとは一体何?読めば判るカビ付けの理由と4つの効果

鰹節にはどうしてカビがついているのだろう?あなたは鰹節に何故カビがついているのか疑問に思ったのかもしれません。鰹節に限らず食べ物を発酵させるという技術はチーズなどにも使われていますが、意外にも和食に欠かせない鰹節と言われながら、どうしてカビが付いているのか、説明できる人はあまりおりません。

鰹節自体、カビが付いている物と付いていない物の2種類あるのですが、昔ながらの家庭で削られる鰹節はカビが付いており、食事をする時には、鰹節を削りながらその独特の風味を楽しむと共に、食卓を楽しむのに一役買っています。

そんな鰹節のカビ付けの歴史やカビ付けの工程を調べてみました。ぜひ読んでみてください。

1 鰹節 カビ付けとは一体何?

どうして鰹節にはカビが付いているのでしょうか?

1-1 鰹節にカビが付いている理由

鰹節についているカビは、人間が悪性のカビから鰹節を守るために、意図的に良性のカビをつけたものです。昔の鰹節は現在の鰹節より水分を多分に含んでおり、カビが発生しやすい食べ物でした。とりわけ江戸時代には流通網が発展し日本の様々な所で鰹節が使用されるようになりましたが、食品の保存技術は発展しなかったので、悪性のカビの影響を数多く受けました。そのような中、良性カビをわざと付けて表面を守る事により悪性のカビが付くのを防いだのです。

カビを付ける事により、合わせて酸化や腐敗を防ぐ事が出来、保存期間が大幅に伸びると同時に、カビが鰹節の中で活発に活動する事により、結果的により特徴のある美味しさを含む物になったのです。

カビが付いた鰹節
カビが付いた鰹節
カビが付いていない鰹節
カビが付いていない鰹節

1-2 鰹節のカビ付けの他にどんなカビ付けがあるのか?

鰹節のカビ付けの他に、鯖節にもカビが付いている物があり、宗田鰹から作られた宗田節にもカビが付いている物もあります。鰹節のカビ付けは、出汁用の他に薄く削り、おひたしなど直接食べる事に使われる事も有りますが、カビ付け鯖とカビ付け宗田が直接食べられる事はなく、蕎麦出汁専用として主に関東地方で使用されます。

カビが付いている鯖節
カビが付いている鯖節
カビが付いていない鯖節
カビが付いていない鯖節
カビが付いている宗田節
カビが付いている宗田節
カビが付いていない宗田節
カビが付いていない宗田節

 

2 カビの種類と効果

鰹節で使われている優良カビとは、一体どんなカビなのでしょうか?

2-1 ユーロティウム

鰹節についている良性のカビは、通常は優良カビと呼ばれ、学術名ではユーロティウム(Eurotium)と呼ばれています。現在では焼津鰹節組合が培養して販売しています。それ以前は、カビは一度発生しますと、条件が揃えばその場所で増殖していきますので、それぞれの鰹節屋が独自のカビを、自分の会社のカビを付ける部屋にそのまま付着させていました。日に当たらない場所が増殖しやすいので、地下などでカビを付けたり、鰹節を寝かせるカビ付け庫を作ったのです。

2-2 どんな効果があるの?

それでは優良カビが付きますと、どのような効果が表れるのでしょうか? 水分、旨味、香りの3つから見ていきたいと思います。

2-2-1 水分が抜けて腐りにくくなる

まずカビが増殖する過程で鰹節の中に含まれている水分が使用され、水分が減るので腐りにくくなります。水分が多いと腐る原因となります。食べ物の中には、水分が食べ物と対外を行き来する「自由水」と食べ物の中に絶えず含まれている「結合水」がありますが、「自由水」が鰹節の中から減少するのです。結果的にとても堅くなり、鰹節は世界で一番堅い食べ物と言われているほどです。

2-2-2 旨味が増す

カビが増殖する事により、結果的に旨みが増します。カビは鰹節の表面から菌糸を伸ばしタンパク質の方に入っていきます。そして増殖する過程で、窒素化合物と呼ばれているタンパク質やアミノ酸を分解していきます。その時に分解する代わりにプロテアーゼと呼ばれるものを出すのです。プロテアーゼの働きは沢山あるのですが、その1つとして旨味を発生させるという事があります。日本の伝統醸造食品にはプロテアーゼの果たす役割が大きく、鰹節もその恩恵をあずかっています。

2-2-3 香りが増す

またこの時に、脂肪分解酵素とされるリパーゼが大活躍します。脂肪が徐々に分解されていく過程で、鰹節特有の香りが発生するのです。鰹節には70種類以上の香りが有るとされており全てが解明されておりませんが、これらの香りが複雑に絡み合いながら、鰹節特有の香りが完成するのです。

2-2-4 出汁が美味しく上品な味わいになる。

水分が飛び、旨味と香りがつく事により、鰹節のカビ付けから取った出汁は、美味しく上品な味わいになります。鰹節は製造工程で焙燻(ばいかん)と呼ばれる下から煙でいぶす工程がありますが、魚体が流線形の為、満遍なく燻されないまま、体内に生臭い水分が残る事があり、結果的に出汁を取った時に生臭みを感じる事があります。カビを付ける事により体内の水分が飛び、生臭い味が消えてなくなるのです。そして旨味が増すと同時に、リパーゼの活躍により脂肪が分解され、脂分が抜けた上品でシンプルな出汁が完成するのです。

3 どうやってカビが付くの? 

それでは実際に、どうやって鰹節の表面にカビが発生して増殖するのでしょうか? 

3-1 表面を削る

まず、表面を削ります。カビを付ける前の鰹節は荒節と呼ばれ、表面には焙燻(ばいかん)工程の煙でついたタールがついています。このタールがありますとカビの付着が上手に出来ない可能性があるので、昔の人達は表面を削るという作業をしました。以前は包丁で表面を削っていきましたが、現在ではグラインダーで表面をなるべく薄くなぞるようにして削っていきます。

グラインダーで削っている所
グラインダーで削っている所
表面を削る前(上)
表面を削った後(下)

 

3-2 カビを噴霧する

次に鰹節の表面にカビを噴霧します。カビの入った容器に水で10倍希釈して、鰹節の表面に満遍なくつけていきます。この時には表面にカビがついている事は目ではわかりません。現在では焼津鰹節組合が鰹節につけるカビを販売しておりますが、このように工業的にカビを準備する前は、鰹節屋が独自で発生したカビから付着されるため、表面を削った鰹節を、湿度が高く、温度が高い部屋にそのまま放置してカビが自然付着するのを待ちました。

3-3 カビ付け庫で寝かす

現在ではカビ付けを行う多くの鰹節屋には、温度と湿度を調整できる「カビ付け庫」という特別な部屋があります。鰹節屋によって管理数値は違いますが、カビが発生する2535℃程度で湿度が95%以上になります。この部屋に入れてひたすらカビが増殖するのを待ちます。鰹節の魚質にもよりますが、概ね2週間~3週間ほどでカビが表面につきます。このカビが付く事を「カビが来る」と表現し、最初のカビを「一番カビ」と言います。

カビ付け庫
カビ付け庫
少しカビが増殖したところ
少しカビが増殖したところ

3-4 天日干しをする

カビ付け庫でカビが付いたものを、一度外で干します。この時には雨が降らない事に気を付けます。雨が降り鰹節の表面に水分が付きますと、斑点状になってしまうのです。

天日干しをしているところ
天日干しをしているところ

3-5 「寝かす」と「干す」を繰り返す

一番カビを干した後にまたカビ付け庫に入れて寝かし「二番カビ」が来るのを待ちます。そして二番カビが来たところで頃合いを見て天日干しをします。そしてまた「三番カビ」が来るのを待ち、天日干しをします。よりこだわりのモノは4番カビまで付けたり、夏の暑い季節に作る事により「夏枯れ節」と呼ぶ鰹節のカビ付けもあります。このカビ付けの工程は早い物で2か月、丁寧に行うものは3ヶ月程度かかります。

「一番カビ」だけでもカビは付いているのですが、沢山カビがついている物が良いとされ「一番カビ」で流通する事はありません。

一番左が完成品、一番右が一番カビ

4 カビ付け鰹節とカビ無し鰹節の比較

それではカビ付けの鰹節と、カビがついていない鰹節ではどんな違いが有るのでしょうか?比べてみました。

4-1 節の外観

まず鰹節そのものの外観です。カビがついている鰹節の表面は、薄緑~赤茶色の色をしています。カビの付き具合と魚の魚質によって色具合は変わります。カビがついていない物は通称「荒節」と呼ばれていますが、表面はタールで覆われ黒色をしています。

カビが付いている物 通称「枯節」
カビが付いていないもの 通称「荒節」
カビが付いていないもの 通称「荒節」

 

4-2 削りの違い

次に削りの違いですが、口の中での触感に違いが出ます。カビ付けの方が少し白色系ですが、見た目にはほとんど変わりません。カビ付けを口の中に入れますと、カビの芳ばしい香りが口の中で広がります。そして薄い削り節の場合、口の中でとろけるように溶けていく事もあるのです。これはカビの付いていない鰹節では起きない現象です。

カビが付いた削り節
カビが付いた削り節
カビが付いていない削り節
カビが付いていない削り節

4-3 出汁の違い

それでは次に出汁にとった時の違いを見てみましょう。カビ付けで取った出汁とカビが付いていない鰹節で取った出汁では、見た目の違いはほとんどわかりません。また違いが出たとしてもカビが付いているかの判断ではなく、鰹の魚そのものや焙燻(ばいかん)行程で行われた煙の付き具合によって色の濃さが影響される可能性が高いです。しかし飲んだ時には違いが出ます。カビ付けの場合は、上品な味わいと香りを楽しむ事ができます。カビが付いていない鰹節は魚の旨みが表にでてきた強い味のする出汁を味わう事ができます。どちらに美味しさの軍配が上がるという事でなく、それぞれ特徴ある美味しさを味わう事ができます。

左がカビ付けの出汁 右がカビ無しの出汁

5 カビ付けの歴史

鰹節にカビを付けるという技術はどのように発展してきたのでしょうか? 歴史をひも解いてみましょう。

5-1 鰹節の大型化と流通の発達

江戸時代に鰹節が大型化しました。大きい鰹節を運ぶとき、悪性のカビがつき、当時の日本人を悩ませましたのです。

5-1-1鰹の大型化

江戸時代中期ごろから鰹節は現在の大きさになりました。鰹の魚体サイズで1.8kg以上のものです。江戸時代初期までは鰹を取る船が小型船であり、沿岸地域までしか出る事ができず、沿岸に来る鰹のサイズが小さく、結果的に鰹節も小さかったのです。江戸時代中期になりますと船が大型化しました。このため、沿岸で漁が行われていたものが、近海まで距離が伸ばせるようになり、結果的に大きいサイズの鰹が獲れるようになり、鰹節も大きくなったのです。

鰹節のサイズが小さい
鰹節のサイズが小さい
削り花が小さくなる
削り花が小さくなる
鰹節のサイズが大きい
鰹節のサイズが大きい
削り花が大きくなる
削り花が大きくなる

5-1-2 製造工程における発展が無かった

鰹節の製造工程で、煙で下から焙りながら水分を抜く焙燻(ばいかん)工程があるのですが、鰹が大型化してもこちらの製造工程の発展はなく、現在の製造工程になるまでには時間がかかりました。よって今の鰹節よりは水分が多い物が流通しており、実際に鰹節を食べる時にも、包丁やカンナで鰹節の角を切り落としたり削り落とす形でした。鰹節よりなまり節に近い状態だったのです。

5-1-3 流通の発達

江戸時代中期に、大阪や京都の商人が食に興味を持ち始めました。経済的に豊かになると同時に、商人のたしなみとして、食がもてはやされました。日本中の美味しい食べ物を大阪や京都の商人が集め始めると流通網が発展しはじめました。流通網は発展しても、大型化した鰹節は水分を多く含んでいるので、運搬時に日数がかかりますとカビが発生するのです。

とりわけ、産地である高知や鹿児島から、集散地である大阪に運ばれる時と、大阪から江戸へ船で運ばれる時に海の湿気からカビが発生する事が度々あったとされています。

5-2 良性のカビで悪性のカビを防ぐ

そこで良性のカビをわざと先に発生させて悪性のカビの発生を防ぐという考えで鰹節のカビ付けが始まりました。発祥は土佐の宇佐浦あたりではないかとされています。カビ付け製法は、カビによる腐敗を防いだことにより商品価値が上がった為、土佐では製法を国外に出す事を禁止しました。よって詳細な記録が残っておりません。

 

5-3 カビ付けの発展

カビ付けは主に伊豆や田子地方での発展しました。どのような経緯で発展したのでしょうか?

5-3-1 航路での発展

駿河地方では、カビ付けの回数が増えてきました。土佐から大阪に到着する鰹節は、悪性のカビの発生を防ぐ事だけを目的としていましたので、一回だけのカビ付けでした。この鰹節が大阪から江戸へ海路を使い運ばれる期間に、一回付いた良性のカビも、悪性のカビの様に増殖していったのです。

これが現在では二番カビ、三番カビとされています。結果論ですが江戸に着く頃には鰹節の中にあった生臭さを発生させる水分が抜け、特有の香味が増すと同時に、美味しいだしが取れるようになったのです。恐らく現在の鰹節の大まかな原型はこの時代のものだとされています。

5-3-2 伊豆と田子での発展

江戸の商人達は、江戸に近い生産地である伊豆や田子地方の鰹節職人達にカビの事を伝えると同時に、カビの回数を増やす事により鰹節の商品としての価値を高めようとしました。伊豆や田子の鰹節は、やがてカビ付けとなり江戸の街で使用されるようになり、今日の食文化の基礎を形作るようになりました。

5-3-3 土佐与一(とさのよいち)

カビ付けの発展には土佐与一も関わったとされています。鰹節を作る燻煙加工は、和歌山県の印南浦の漁民の角屋甚太郎が、鰹漁で遭難し漂着した宇佐浦で節製法を伝授し、そこで発展されたとされています。その後同じく印南浦出身の土佐与一という人物が、土佐から安房に伝えたとされています。この際、燻煙加工だけでなくカビ付け製法も伝えたとされています。

しかしながら、この時期になりますと、流通網が全国にありましたので、鹿児島にも他の人物が、カビの付いた鰹節を伝えたとされ、実際は土佐与一がどこまでかかわったのかは定かではありません。

 

まとめ

鰹節にカビが付いているのは、先人が鰹節を悪いカビから守り、長期保存していく為の知恵から生まれたものでした。そして結果的にそれば鰹節をより美味しくさせる事になったのです。今では日本中探しても鰹節にカビを付けているところは数少なくなりましたが、美味しい食べ物は後生に伝えていきたいものです。

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