発酵食品と呼んでいい鰹節は本枯節だけ!?その由縁と効果を紹介!

鰹節の中でも「本枯節」という鰹節は発酵食品です。

鰹節はその生産工程の違いにより鰹を煮て→骨を取り→燻製させて完成する「荒節(あらぶし)」と、

「荒節」の完成後、表面を削り→カビを付け→天日干して完成する「本枯節(ほんかれぶし)」の2種類に大別する事が出来ます。

本枯節のみ行う作業であるカビ付けによって、Eurotium herbariorum (ユーロティウム・ハーバリオラム)という良性のカワキコウジカビの一種を鰹節の表面に繁殖させます。

このカビの働きによって鰹節には様々な良い効果がもたらされます。

カビ等の微生物が食品に良い効果をもたらす変化を「発酵」と呼びますが、つまりカビによって良い効果が起きている本枯節は発酵食品なのです。

本記事ではそんな本枯節が出来るまでの工程を追っていき、また良性カビがどのような発酵効果を見せるのかを紹介していきたいと思います!


1.発酵食品である本枯節とそうではない荒節との違い

鰹節は発酵食品に分類される食品です。しかし、全ての鰹節が発酵食品というわけではありません

1-1.荒節と本枯節の違い

鰹節には大きく分類すると、荒節(あらぶし)本枯節(ほんかれぶし)という二種類に分けられます。

荒節(あらふし)

本枯節(ほんかれぶし)

見た目に大きな違いのあるこの二つの鰹節。

どちらの鰹節も元となるのは、生のカツオです。

その大きな違いは、

荒節は生のカツオを燻製しただけであるのに対して、本枯節はその荒節の表面にカビを生やした物であるという点です。

1-2.発酵食品は本枯節だけ

この二種類の内、発酵食品に分類されるのは本枯節であり、荒節は発酵食品ではありません!

いったいこの二つの鰹節は何が違うのか、どうして発酵食品とそうでない物に分かれるのか?

まずは最初に発酵食品の定義について触れておきましょう。

1-3.発酵の定義と鰹節

発酵とは食品についた様々な微生物が食品のタンパク質やでんぷん質を分解して、アミノ酸や糖分を作り出すことによって、旨味や香りがうまれる事であり、こうして出来た食品を発酵食品と言います。

発酵食品は食べると健康に良いですが、同じように微生物によって味や香りが変わるが、人体にとって悪影響のある物は腐敗とされます。

発酵の簡単な仕組みと腐敗との違い

身体に良くて様々な食べ物がある「発酵」と、異臭もして食べられない腐った状態の「腐敗」

この二つの現象は良く似ていますが、食品にくっつく微生物の違いが二つの違いを引き起こしています。

さらに発酵についても、元となる食品とそれにくっつく微生物の組み合わせによって様々な種類の発酵食品が作られます。発酵を起こす微生物は多々ありますが、ここで5つの主な微生物を紹介します。

この表では載せきれない程多くの微生物や発酵食品がまだまだありますが、ここで注目していただきたいのは麹菌(こうじきん)によって作られる発酵食品に鰹節があるという事です

つまり発酵食品である本枯節はこの麹菌に触れる機会があるが、荒節は麹菌に触れないということです

では、それぞれの鰹節の製産工程にどんな違いがあるのか探っていきましょう!


2.荒節と本枯節の生産工程

荒節の生産工程と本枯節の生産工程は、同じ工程の部分と本枯節のみの工程の二つに分けられます。

2-1.共通の工程

荒節にしても本枯節にしてもスタートは生の鰹から作られており、途中まではその生産工程は一緒なのです。

共通の工程を簡単に説明いたしますと、

2-1-1.生切り

生の鰹の頭を切り落として、身を三枚に卸します。

3枚卸にされた鰹

三枚卸にされた鰹の身

三枚に卸した鰹の身の真ん中に中骨があった辺りに沿って包丁を入れていき、身をお腹の部分と背中の部分に分けます。お腹の方の身を雌節(めぶし)背中の方の身を雄節(おぶし)と言います。

三枚卸にした身の中央に包丁を入れる

2-1-2.煮熟(しゃじく)

切り分けられた鰹を金属製のセイロに並べて、沸騰したお湯が張ってある釜に入れてボイルをする作業です。ボイルをすることによって煮沸殺菌されて鰹が腐敗しにくくなり、

たんぱく質が凝固して身が固くなり、次の工程の作業がしやすくなります。

煮熟の様子。この中で1時間半~2時間程ボイルします

2-1-3.骨抜き

ボイルした鰹の身から毛抜きのような道具を使って丁寧に骨を取り除きます。

大きな骨が残っていると、次の乾燥させる工程で鰹節が曲がってしまい美しくない事と、削り節に骨が入ってしまう可能性が増えるので、骨抜きは大事な作業となっています。

毛抜きのような道具を使って骨を抜き取る

2-1-4.焙乾(ばいかん)

セイロに並べた鰹にクヌギや楢、桜の薪を燃やした煙で燻して燻製にする工程です。

この工程は完了するまで約3週間~4週間程掛かります。

鰹を並べたセイロを重ねて、その下で薪を燃やして燻します

こうして、長期間燻して水分が飛ばされて鰹が固くなったら鰹節(荒節)の完成です。

荒節の完成!

CM等で見掛ける事の多い本枯節と違って、見た目はゴツゴツしていて表面には何度も焙乾させる事でタール分が付着して黒っぽくなっていて、鰹節のイメージと違うと思われるかもしれませんが、

市場に出回っている「花かつお」などはほとんどがこの荒節を削っています。

かつお削りぶしのラベル

荒節を削った花かつおは「かつお削りぶし」などとラベルに表記されています

さて、ここまでの工程で荒節は完成して本枯節も途中まで工程が終了しましたが、どこにも微生物を用いた作業工程はありませんでしたね?

つまり、ここで作業が終了する荒節は発酵する機会が無い為、発酵食品ではないのです!

では、ここから先は本枯節の生産工程を見ていきます。

2-2.本枯節が作られる独自のカビ付け工程

本枯節の生産工程は先程紹介しました、荒節の完成までの工程と同じ経路を辿ります。

ここから先が本枯節でのみ行う作業であり、そこに発酵の秘密があります。

2-2-1.表面を削る

完成した荒節のままでは、表面にタール分が付着してゴツゴツしている為、カビが付きにくくなってしまうので、荒節の表面をグラインダーで削ってタール分を落とします。

グラインダーで削っている所

グラインダーで表面の黒いタール分を落とす

表面削りされた鰹節

表面を削り終えた鰹節

2-2-2.カビ付け

さてここからの作業こそ本枯節が発酵食品であるとされる由縁の作業となります。

表面を削った鰹節に良性のカビ菌を吹き付けてから、「むろ」と呼ばれる湿度や温度がカビの繁殖しやすいように調整されたカビ付け庫で寝かして、カビを増殖させます。

少しカビが増殖したところ

少し鰹節の表面にカビが繁殖した様子

表面にカビが繁殖したら外に出してカビを取り払ってから天日干しを行います。

天日干しをしているところ

天日干しをしている。雨が降らないようお天気には要注意!

天日干しをした後はまた、カビ付け庫に戻してカビが付き繁殖するのを待ちます。

そしてカビが増えたらまた天日干し…という流れを3回~5回繰り返します。

この作業を繰り返していくと右→左の順にカビの色が茶色になっていきます

こうして3回~5回カビ付けと天日干しを繰り返す事によって本枯節が出来上がります!

カビ付け庫内でカビが成長していく工程で本枯節には発酵が起きています

茶色くなってカビが付かなくなったら本枯節の完成です

本枯節の完成!

より詳しく鰹節の作り方を知りたい方はこちら!手間と時間をかけたこだわりの鰹節の作り方

本枯節を使った削り節には、原材料名に「かつおのかれぶし」などと表示されています。

カビがついている

原材料名に「かつおのかれぶし」の表記アリ!

手間暇かけて作られる本枯節ですが、つまりこの表面の白っぽい物は全てカビに覆われている物なのです!

カビだらけと言ってしまうと「うわっ」と思ってしまうかもしれませんが、

このカビが鰹節の水分を吸い上げることで本枯節は更に硬くなり、また脂肪分を分解する事でだしをとった時に上品なだしがとれるようになり、旨味も熟成されるのです。

つまり、とっても嬉しい効果が出るのでこのカビの働きは「腐敗」ではなく「発酵」なのです!

では、そんな嬉しい効果とそれをもたらしてくれるカビについて次の章でご紹介します。


3.カビ付けに使われるカビとその4つの利点

鰹節のカビ付けには、昔はカビ付け庫に住み着いているコウジカビ属(Aspergillus)である

Aspergillus glaucus (アスペルギルス・グラウクス)

Aspergillus repens (アスペルギルス・レペンス)

という2種類のカビが自然に鰹節に付くのを待っていました。

工業化が進んだ現在では自然とカビが付くのを待つのではなく焼津鰹節組合が販売をしている純正培養された

Eurotium herbariorum (ユーロティウム・ハーバリオラム)というカツオコウジカビを

鰹節の表面に吹き付ける事で、カビを付けています。

焼津鰹節組合が販売している良性カビ

そんなカビたちが鰹節の表面で繁殖すると次のような4つの良い効果(つまり発酵)があります!

3-1.鰹節の水分が抜けて腐りにくくなる

鰹節の表面に付着したカビが成長して繁殖するには、水分と養分それに適度な湿度や温度が必須になります。

その内の水分は鰹節の内部にある水分を利用しています。

カビが鰹節の中心部分に残っている水分を吸い上げることによって、鰹節は更に乾燥していき腐りにくくなると共にとっても硬くなります!

3-2.鰹節の表面に悪性カビが生え辛くなる

前もって鰹節の表面に良性のカビを繁茂させる事によって、鰹節の水分や栄養をこの良性なカビが独占できます。こうして表面が良性カビで覆われた鰹節にあとから悪性カビの胞子が付いても、繁殖し辛くなります。先程の水分を抜き取る効果と合わせて、鰹節の長期保存を可能としてくれます!

3-3.たんぱく質が分解されて旨味成分が増える

カビが発酵をする時にたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)という物質を分泌します。

このプロテアーゼが鰹節のたんぱく質を分解します。たんぱく質を分解するとアミノ酸という物質が出来ますが、このアミノ酸に旨味成分を持つものがあるので、味に深みが出るいわゆる熟成されるのです!

コラム:お肉に麹をかけるとお肉が柔らかくなる!?

調理前の生肉に麹をかけると、この時も同じようにプロテアーゼが分泌されてたんぱく質を分解します。

お肉の主成分であるたんぱく質が分解されることによって、お肉が柔らかくほぐされるのです!

3-4.脂質が分解されて上品で透き通っただしがとれる

動物性の素材からとっただしはどうしても植物性のだしと比較して、油分が浮いてしまいます。

鶏がらスープ

画像:レシピサイトぷちぐる

しかし、カツオコウジカビはリパーゼという油脂分解酵素を分泌する事によって、鰹節に含まれている脂肪分を脂肪酸とグリセリンに分解し、更にその分解物を食べてくれます。この作用のおかげで本枯節を使っただしは、動物性だし特有の油分の浮遊もなく透き通った綺麗なだしがとれるのです!

左:荒節のだし 右:本枯節のだし

鰹節は元々脂肪分の少ない食材なので、荒節でとっただしも透き通っていて見た目の違いは色の濃淡ぐらいで見分けは付きにくいのです。

ですがカビの働きでたんぱく質や脂質が分解されることによって、荒節のだしがパンチの効いた味で少し魚の生臭さが残っている香りなのに対して、

本枯節のだしは雑味の少ない上品な香りのするだしがとれます。

どちらが優れているという事はなく、

鰹本来の味や燻製の香が楽しめる荒節はお鍋やめんつゆ等に良く合い

透き通った色と上品な香りが楽しめる本枯節は、お吸い物など椀物に良く合います

用途によって2つのだしを使い分けると、グッと料理の味に深みが出ておいしくなりますよ!


4.まとめ

鰹節の中でも「本枯節」と呼ばれるカビ付けを行った物が、長期保存を可能にして上品な風味と味わいを産み出す発酵が起きている発酵食品であることが分かったかと思います。

本枯節はその生産過程の大変さから、あまり市場に出回らない&高価ではありますが、そのお味の違いは歴然ですので、一度手に取って試していただけたら幸いです!

 

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